令和6年髪切山慈光寺戸開式

令和6年(2024年)3月16日土曜日に生駒山の髪切山慈光寺(こきりさんじこうじ)にて戸開式(とあけしき)

が行われました。

急勾配の坂道が続くことから「酷道」と呼ばれることもある国道308号線。生駒山を通って東大阪と奈良を結ぶ暗越奈良街道としてかつては旅人のための宿や茶屋でにぎわっていたのだとか。

その中でも最大の傾斜角といわれる難所の先にあるのがこの慈光寺です。

その昔、役小角がに葛城山で修業中、生駒山で二人の鬼賊が付近の村落に出没して良民に危害を加えていたため、不動明王に呪縛の祈誓を行い、これらの鬼を捉え改心の誓いとして髪を切って以降、役小角に付き従う前鬼後鬼として使役したといい、髪切山という地名の由来といわれています。


慈光寺の戸開式では、この伝説にもとづき赤鬼・青鬼が行者とともに儀式をおこないます。

まずは、鍵渡式(かぎわたししき)がおこなわれ、山主より行者に役行者が祀られる開山堂の鍵が引き渡されます。

赤鬼、青鬼を先頭に「ワッショイ」の掛け声とともに開山堂に続く階段を駆け上がります。

そして、先程行者に引き渡された鍵によって開山堂の扉が開かれます。お堂の中では般若心経が唱えられ、これによって山開きとなり、その年の修行の始まりが告げられます。

戸開式の後は開山堂の横の道場で柴燈護摩供(さいとうごまく)がおこなわれます。

法斧(ほうふ)、法弓(ほうきゅう)、法剣(ほうけん)によって魔を払います。

そして、松明によって護摩壇に火が入ります。

もくもくと煙が高く上り、この煙が昇龍のようだ、という方もおられます。

皆様の願いが書かれた護摩木を壇に投じ成就を祈願します。

この煙にあたるとご利益があるといわれ、参列された多くの方が壇にあつまられました。

生駒山の春を告げる行事として親しまれるこの儀式は、毎年3月の第3土曜日に行われます。

戸閉式護摩供護摩木のご案内

9月には、一旦修行の季節の終わりを告げ、春にそなえる戸閉式(とじめしき)として同様の儀式がおこなわれます。

その際も護摩木をおあずかりして祈願させていただきますので下記より事前にご連絡ください